Interview

苫小牧の地の利を活かし、
未来のものづくりを
リードする企業に。

トヨタ自動車北海道株式会社 代表取締役

北條 康夫さん

1991年に設立されたトヨタ自動車北海道は、トヨタの北の拠点として駆動ユニットの製造を行い、苫小牧から国内はもとより世界中のトヨタの工場に製品を供給している。自動車業界が百年に一度の大変革を求められる中、代表取締役の北條氏は、まずは電動ユニットやCVT等の主力生産ラインの原価低減やTPSそして質にこだわった基本の徹底による会社競争力基盤の強化を進めている。その上で、従来の延長線上ではない新しい取り組みを進めるための組織づくりにも積極的だ。

  • 本社所在地
    北海道苫小牧市字勇払145-1
  • 道内所在地
    北海道苫小牧市字勇払145-1
  • 企業サイトURL
    https://www.tmh.co.jp/
  • 事業内容
    自動車部品の製造

ー事業内容について教えてください。

トヨタ自動車の「北の生産拠点」として、トヨタ車に搭載される駆動系部品を製造しています。トヨタ世界戦略の重要拠点の1つとして、国内の車両工場はもとより、世界各地へ製品を供給しています。

ー北海道への立地を考えたきっかけは?

設立が1991年と、もう30年も前の話ですので、現状とはちょっと合わないのかもしれませんが、すでに当時、愛知県の三河地区では、新しい工場を建てて生産ラインを作るための多くの人材を確保するということが困難な状態でした。しかし、ここ北海道ではまだ優秀な人材を安定的に確保することが可能と考えたようです。ほぼ同時に、九州にもトヨタ自動車九州が福岡県に設立されています。エピソードとしては、すでに亡くなられた豊田英二元最高顧問の後日談ですが、当時苫小牧の既存の工場で、アルミホイールや駆動ユニットの原材料のアルミニウムを生産するというような話がありまして、アルミニウムの容易な入手が可能なのではということをおっしゃっていたそうです。現実には実現しませんでしたが、そういう経緯があります。

ー拠点を作るにあたって重視したポイントは?

ポイントは大きく3つあります。1つ目は人材です。自動車部品を製造するにはたくさんの従業員が必要です。北海道は優秀な人材を安定的に雇用できるという点が魅力でした。2つ目は広大な用地が安価に取得可能ということです。当時愛知県地区では、このような広大な工業用地を確保することは大変困難でした。3つ目に交通・流通の良さです。苫小牧は、陸・海・空。すなわち高速道路、港、空港、そういった要所に恵まれ、利便性が大変高かったということです。

ー北海道に進出する際に社員の反応は?

当初から北海道の出身者が多く、操業の2~3年後には北海道出身者が9割を超えていました。地元北海道の大自然の中の工業地帯で働けるということに、皆さん喜びを感じていたというふうに聞いています。

ー実際に北海道に暮らしてみた感想は?

私自身、苫小牧に来て4年半になります。夏は非常に涼しく冬は意外と雪が少ない、大変生活しやすい地域だと感じています。また国立公園にも囲まれ、ドライブが楽しいし、身近に季節ごとに素晴らしい風景があると。そして旬な食材を次々に楽しむことができる、魅力度ランキングNo.1の北海道で仕事ができて大変幸せです。しかし、地元の方はそれが普通なので、そのアドバンテージをあまり感じていないかもしれませんね。また、地域の皆様とさまざまなコミュニケーションの機会がありますが、本当に温かく親切にしていただいて大変感謝しています。

ーウィズコロナ時代への対応は?

感染拡大対策を行いながら、社内外とのコミュニケーションをするという難しさを痛感しています。引き続き政府や道の方針に従いながら、関係機関と連携し、マスク、手洗いや執務席の配置変更、飛沫感染防止パネルの設置、オンライン会議、リモートワーク等の感染拡大防止対策を継続していきたいと思っています。北海道には、「新北海道スタイル」をいち早く発信されたように、ワクチンの接種が大きく進む中、withコロナ時代の新しい行動スタイルを他の都府県に先駆けて発信していただけることを期待しています。

ー今後の展開やビジョンを教えてください。

自動車産業は、ご存じのように百年に一度の大変革を求められる時期にあり、それは当社においても例外ではありません。脱炭素社会に向けて、自動車の電動化が加速していきます。まず原価低減やTPS、そして質にこだわった基本の徹底による会社基盤の強化により、CVTやハイブリッドをはじめとする電動ユニットの強化に努めます。その上で、従来の延長線上ではない新しい取り組みを進めるために、今年4月に社内に「アドバンストBCD企画推進室」を立ち上げました。

ーアドバンストBCD企画推進室の取り組みは?

Bはビジネスクリエーション、Cはカーボンニュートラル、Dはデジタルトランスフォーメーションです。新組織では、社内外向けにそれらの取組みに対して、産学官連携も含めて注力・推進したいと考えています。Bは従来からの自動車部品製造という枠を超え、当社の強みであるTPSやカイゼン活動、製造技術等を活かしながら、他の業界や産業にお役に立つことができないだろうかという取り組みです。Cは政府が示した2050年のカーボンニュートラル達成に向け、トヨタグループはもちろんのこと、地元関係官庁や関連企業と連携しながら、カーボンニュートラルの取組事業へ参画し、自社のみならず、北海道地域全体のカーボンニュートラルへの取り組みが加速すればと考えています。再生可能エネルギーの宝庫といわれる北海道のアドバンテージを活かし、ものづくり産業の活性化につながらないかなとも考えています。Dは、まずは本業である自動車部品製造における業務のプロセスを根底から見直し、DX(デジタルトランスフォーメーション)によるアウトプットの最大化とその取り組みを通じて人材育成を図っていきたいということです。これらの取り組みを通じて、北海道の皆様に信頼される会社、「チームトヨタそして北海道になくてはならない会社」になりたいと思っています。

Profile

トヨタ自動車北海道株式会社 代表取締役

北條 康夫さん

  • 1981.3
    名古屋工業大学大学院 生産機械工学専攻 修了
  • 1981.4
    トヨタ自動車工業株式会社 入社
  • 1982.7
    トヨタ自動車株式会社へ社名変更
  • 1999.1
    同社 第2ドライブトレーン技術部 第1AT技術室
  • 2003.1
    同社 第3パワートレーン開発部 部長
  • 2014.4
    同社 ドライブトレーン技術領域 領域長
    同社 常務理事 就
  • 2017.4
    トヨタ自動車北海道株式会社 顧問 就任
  • 2017.6
    同社 取締役社長 就任

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