Interview

北海道が抱える課題は、
AIソリューションで
解決できる。

AWL(アウル)株式会社 代表取締役社長 兼 CEO

北出 宗治さん

既設の防犯カメラをAI化する「AWL BOX」と、デジタルサイネージのAI分析・自動化を支援する「AWL Lite」を中心にサービスを展開するAWL。東京と札幌の二本社体制と大手ドラッグストアとの業務提携で、世界に通用するAIソリューションを開発している。社会にAIの実装を進めることによって、北海道が抱えるさまざまな課題も解決できる。それが代表の北出氏が描くビジョンだ。

  • 本社所在地
    東京都千代田区丸の内3丁目3番1号 新東京ビル4階 434号室
  • 道内所在地
    北海道札幌市東区北8条東4丁目1番20号
  • 企業サイトURL
    https://awl.co.jp/
  • 事業内容
    エッジAIカメラソリューションを提供

ー事業内容について教えてください。

弊社はエッジAI技術を使った映像解析ソリューションを展開しています。リアル店舗やオフィス、病院、学校、工場など、いろいろな空間の映像をAIで分析し、可視化・データ化し、マーケティング、接客、防犯、業務の効率化に貢献するさまざまなAIソリューションを提供しています。

ー会社を起業するまでの経緯は?

2006年に独立して、コンサルタント事業をはじめさまざまな会社を立ち上げる中で、2015年に北海道大学の川村教授をご紹介いただきました。当時はIT空間で活用しはじめていたAIが、これからリアルな現場にどんどん実装されて、大きく社会が変革していくというお話に感銘を受けて、私もそのビジネスで社会貢献をしたいと思い、2016年の6月に前身となる「AI TOKYO LAB株式会社」という会社を創業しました。その後、大手ドラッグストア「サツドラ」の富山社長とお会いして、リアルのリテール店舗には課題が多いこと、省人化の中でAIを活用できる可能性が多いことなどを知り、リテール向けのAIカメラソリューションに集中するためにサツドラと業務提携しました。

ーAIカメラソリューションとはどのようなものですか?

大きく2つあり、1つは既設の防犯カメラをAI化する「AWLBOX(アウルボックス)」という名称のソリューションです。ほぼ100%の店舗に防犯対策や映像の記録として、防犯カメラが設置されていますが、録画だけの用途となっているので、AIによってその映像をもっと活用できると考えました。AIにより可視化・データ化することで、マーケティングにも使えますし、また防犯の点でも、リアルタイムでAIが分析してアラートを出したり、さまざまな業務効率化も図れます。人の流れを解析できると、効果は更に大きくなります。
もう1つはデジタルサイネージです。WEBカメラなどを付けて、AI化することで、どの広告を何人が、何秒見ているかだけではなく、どんな広告をどんな属性が見ているかということの分析も可能になり、対象者に合わせた広告を出し分けることもできるようになって、デジタルサイネージの価値が大きく上がります。これを「AWL Lite」という名称のソリューションで提供しています。

ー東京に続いて札幌に本社を新設した理由は?

東京の本社機能は主にビジネスやマーケティングで、札幌の支社は研究開発がメインでしたが、最先端のAI研究開発及び、サツドラとのパートナーシップをはじめとする新規ビジネスモデルの構築における札幌の重要性が増し、従業員数も増える中で、札幌も本社化して二本社体制にするのが良いと考えました。二拠点を本社にしたほうが、東京と札幌のお取引様に安心していただけるというのが大きな理由です。

ー非常に多国籍の社員が活躍していますね。

AIエンジニアは非常に専門性が高い職種であり、人材不足が続いており、国内人材だけでは不十分な状況です。そんな中で、優秀な人材を継続的に確保するために、グローバルに採用を進め、グローバルな人材も働きやすい環境を整備することを創業の時から意識しています。初期のグローバルなメンバーは、北海道大学の優秀な留学生でした。北海道が好きで北大を選んだ学生も多く、就業の機会があれば卒業後も札幌にいたいという話を聞いていたので、札幌に研究開発拠点を構えて雇用の機会を創出しようと、考えたわけです。結果として今では17カ国のメンバーが勤務してくれています。

ー御社の一番の強みは?

AI、IoTを積極的に導入し、デジタルトランスフォーメーションのノウハウを蓄積しているサツドラというドラッグストアと、店舗内のあらゆる行動をデジタル化、可視化するリテール向けAIカメラソリューションを提供するAWLのパートナーシップにより、リアル店舗での実証実験とトライ&エラーを柔軟に、かつ継続的に実施できることにあります。これは通常のIT企業ではなかなかできないことであり、これらの取り組みにより、オンラインとオフラインの融合による新しい顧客体験の創出を連打できることを目指しています。

ーAIの活用で北海道はどのように変わりますか?

北海道は課題先進地域と言われますが、その課題を解決する上でAIをはじめとする最先端のテクノロジーが貢献できると思っています。AI対人間という構図で議論されることもありますが、明らかに労働力人口が減っていく中で、AIやロボットができることはテクノロジーに任せ、人間だからこそできる仕事に集中をする、やりがいもあり、充実感も高まります。これにより、北海道が持つポテンシャルを活かした独自の路線を切り開いていけるのではないかと思います。

ー開発における北海道の優位性は?

インターネット環境があれば、世界中から必要な情報を得ることができる今、新たな価値をいかに創出できるかが重要であり、北海道はそれに適した環境であると考えます。北海道は大自然とほどよい都会を満喫でき、豊かな生活環境の中で、リラックスして過ごすことができ、創造性もはぐくむことができ、それが大きな競争力になると考えます。

ーウィズコロナ時代にAIが果たす役割は?

コロナの影響によって、DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性やニーズが非常に高まりました。キーワードの1つがリモートです。リモートを活用して対応することで、コストが大きく削減できます。この効果は広大な北海道では特に顕著です。もう1つのキーワードはデジタルサイネージです。今までは紙のPOPで売り場の販促物を一つひとつ手作業で掲示していたのが、デジタルサイネージを利用することで、全店を一斉に切り替えることができ、設置作業も一瞬で終えられ、ゴミも出ません。業務の生産性の向上、販売促進業務の効率化・高度化を支援しながら、地球環境への負荷軽減にも貢献し、多くのメリットがあるDXは、これからの時代に必須のテクノロジーです。

ー今後の展開やビジョンを教えてください。

現在は、リテールのお客様にしっかりとご満足いただける店舗向けのソリューションを確立し、提供することに集中していますが、この先のビジョンとして、大きく2つあります。1つは店舗以外の、オフィス、病院、学校や工場・倉庫など、あらゆるリアル空間の防犯カメラをAI化することを考えています。もう1つの軸は海外展開です。AWLの映像解析技術は世界の最先端をいくレベルにあり、全世界に向けてサービスを展開することができます。この2つの方向で、実社会でAIの活用を進めて、安心・安全、更には新たな感動や喜びを創造する、より良い社会づくりに貢献していきたいですね。

Profile

AWL(アウル)株式会社 代表取締役社長 兼 CEO

北出 宗治さん

⼤学在学中からインターネットビジネスを始め、IT⾰命の可能性に魅了され、⼤学卒業後は⽶コンサルティング会社(D.C.)、⽶レコード会社(N.Y.C)にてWEBマーケティング&コンサルティングを担当。
帰国後、マンツーマン英会話のGABA社のIT部署の立ち上げに参画しWEBマーケティング部を統括、同社の上場に貢献。
その後、ライブドア社にてメディア事業部マネジャーとして多数の事業立ち上げを経験したのち、2006年に独立。
GMOインターネット社とのJV設立(取締役)や、電通アイソバー社のパートナーとして⼤⼿企業を中⼼としたコンサルティングを経て、2015年に北海道大学川村教授との出会いをきかっけに、2016年6月にAWL株式会社を創業。

PAGE TOP