Interview

北海道の企業と一緒に、
世界に必要とされる
医療機器を作りたい。

株式会社ユニシス 代表取締役

齋藤 英也さん

海外に医療機器を輸出しているユニシスにとって、東日本大震災の衝撃は大きなものだった。リスク分散のために北海道に工場を新設したことと昨今のコロナ禍によって、次の展開が見えてきたと代表取締役の齋藤氏は語る。世界の医療現場で必要とされる医療機器を、北海道の協力企業を巻き込んで作ろうというプロジェクトだ。北広島から、北海道のものづくりの可能性が広がっている。

  • 本社所在地
    東京都台東区台東4-11-4
    三井住友銀行御徒町ビル7F
  • 道内所在地
    北海道北広島市輪厚工業団地1-2-8
  • 企業サイトURL
    https://www.unisis.co.jp/
  • 事業内容
    医療器具製造・輸出・国内販売

ー事業内容について教えてください。

1978年の創業以来、一貫して海外に医療機器を輸出しています。商社として発足した後、麻酔の針や特殊な注射針などを製造するメーカーとして活動しています。

ー北海道に工場を持とうと思ったきっかけは?

弊社は売り上げの8割以上が海外という、非常に海外依存が高い企業です。2011年の東日本大震災の時のことですが、当時は埼玉工場しかなかったので供給ができなくなるのではと、海外のお客様から非常に心配をされました。国内で、できるだけ埼玉の工場から離れた場所に新たな製造拠点を作る必要がありました。地震が非常に少なく、海外によく知られたネームバリューがある、この2点から北海道に工場を作ることを決め、2014年に北海道工場を竣工させました。

ー北海道の中で北広島を選んだ理由は?

広大な北海道の中でも地震が少ない場所ということ、それから津波の影響を受けない内陸部ということ、まずはこの2点を考えました。うちの会社の製品は特殊な針で、手作業が多いので人手が必要になります。埼玉工場も同様ですが、やはり都市圏ではないとそれが難しいので、札幌の周辺地区で探したところ、北広島という場所が見つかりました。非常に多くの工場や倉庫があって、流通的にも札幌と繋がっていて、新千歳空港にも近いということで、海外に直接輸出する際にもメリットが大きいと考えました。あとは、市役所の方や市長さんに、立地に関して相談に乗っていただいたり、応援していただいたりということも大きな決め手でした。

ー北海道進出に対する社員の反応は?

北海道への進出を決めた頃、道内の技術系の大学・専門学校・高専に対して、将来は北海道工場に勤めてもらうという前提で、ぜひ埼玉工場に来てくれないかとリクルートしました。その社員が数年前から北海道工場に戻り始めています。転勤で来た中にも、非常に住みやすい環境が気に入って北海道への定住を決めた社員が現れています。

ー北海道で力を入れていることは?

北海道の協力企業を数多く作ることです。北海道で独立して製造を進めるためには必要なので、北海道の企業にぜひ医療機器に参入してほしいとお願いしています。実際に、一階や二階の特殊な装置などは北海道の方で作り始めたものですし、一部の部品も、北海道内で製造したものが直接この北海道工場に入っています。まだ市場には出ていませんが、すでに開発完了した「スパイナルドレナージセット」は、道内企業との協働で開発を進めたものです。

ー北海道におけるものづくりの可能性は?

製造拠点の分散化を検討している医療系の企業も多いと思いますが、その選択肢として北海道を考えてもらうためにも、ぜひ道内のものづくり企業に医療機器に参入していただきたいですね。北海道といえば観光業ですが、コロナの影響で大きな打撃を受けています。しかし、ものづくりが盛んな東海地区などはコロナ禍で逆に業績を上げています。北海道のもう1つの柱として、ものづくりは絶対に育てていくべき分野だと思います。

ー工業系の大学や高専が多い北海道の優位性は?

道内の学生さんは、優秀な人ほど北海道を離れるという傾向が以前からあります。受け皿となる仕事がないので、結局は東京に就職するしかない。でも、やっぱり北海道に戻りたいという気持ちを持つ人が多いんですね。この北海道工場をもっと大きくした上での話ですが、東京で経験を積まれた方に、弊社でその力を発揮していただけたらと考えています。

ー北海道の冬は心配ではありませんでしたか?

北海道に進出する前に、一番寒くて一番雪が多い2月に来て、石狩から苫小牧まで全部見て回りました。冬場の積雪や交通環境から判断すると、北広島がちょうどいいと感じました。苫小牧も雪は少なかったのですが、すでに大手メーカーが進出しているので、なかなか人手が確保できないだろうと考えました。

ーウィズコロナ時代の戦略は?

つくづく思ったのが、弊社にはコロナに対応する製品が全くなかったということです。今回のコロナ禍で開発に着手した人工鼻、これは人工呼吸器に使われる使い捨てのパーツですが、国産化率1%以下でした。国産化率が極端に低いが、日本で作れるものが意外に多いことに改めて気づいた次第です。そういうものを作れる医療機器のメーカーになる、これを大きな命題に掲げて工場の第2期工事を進めているところです。

ー今後の展開やビジョンを教えてください。

コロナワクチン接種のニュースで、1つの容器から6回分が取れる「ローデット注射器」が注目されました。実は弊社でもその注射器を持っていたのですが、少量しか量産はしていなかったので活用できませんでした。その反省から、今後は麻酔の針以外の医療機器、とりわけ使い捨ての医療機器を作っていこうと考えています。北海道工場を立ち上げた当初から、ここは量産工場にすると言い続けていましたが、さらにいろいろな医療機器を作る工場にするということを早期の目標に掲げています。

Profile

株式会社ユニシス 代表取締役

齋藤 英也さん

  • 1994.3
    私立東京理科大学 工学2部経営工学科卒
  • 1994.4
    丸文株式会社(東証1部上場、電子部品専門商社)
  • 2000.9
    丸文株式会社 退社
  • 株式会社ユニシス 入社
  • 2000.10
    齋藤彰夫(父、前々ユニシス社長)死去
  • 2001.3
    株式会社ユニシス 取締役就任
  • 2002.9
    東京女子医大先端生命研究所主催のバイオメディカルカリキュラム(BMC33期)に参加
  • 2004.1
    技術取締役 就任(埼玉工場建設推進担当)
  • 2008.9
    副社長 就任(物流/滅菌センター設立責任者)
  • 2009.8
    代表取締役 兼 工場長 就任
  • 2014.8
    代表取締役 兼 最高技術責任者 兼 工場長(三拠点)
  • 2017.4
    北海道より 企業誘致サポーターを委嘱
  • 2019.4
    北海道より 産業集積アドバイザーを委嘱(2020年も継続)

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