Interview

北海道の皆様と共に、
本物の北海道ブランドを
創り上げていきたい。

久原本家グループ 株式会社北海道アイ 代表取締役会長

河邉 哲司さん

福岡の小さな醤油蔵から始まり、「茅乃舎(かやのや)」や「くばら」などのブランドを擁する一大食品メーカーとなった久原本家グループ。2019年に株式会社北海道アイを設立し、2022年には恵庭市で久原本家食品北海道工場を稼働させた。北海道の環境と食材、そして人に惚れこんだ社主の河邉氏は、道民に愛される本物の北海道ブランドを創り上げていきたいと考えている。

  • 本社所在地
    北海道恵庭市戸磯2006-1
  • 企業サイトURL
    https://tabekita.jp/
  • 事業内容
    食品・調味料の製造販売

事業内容について教えてください。

私ども久原本家グループは、明治26年に福岡市近郊の久山町で誕生した「久原醤油」がルーツで、来年で130周年になる総合食品メーカーです。私はその4代目で、博多名物“からし明太子”の「椒房庵(しょぼうあん)」や、レストランから派生した化学調味料・保存料無添加の「茅乃舎」ブランド、あごだしの「くばら」など、さまざまな事業展開をしています。

北海道進出を考えるようになったきっかけは?

1990年に博多からし明太子の「椒房庵」を立ち上げ、原料となるタラコを何のつてもない中北海道で探していたときに、本当にいろいろな方にお世話になりまして、何とか北海道の地に恩返しをしたいという思いからでした。2013年に札幌の大丸さんに茅乃舎のショップを出店して、たくさんの皆様にご愛用いただいたことで、北海道の食材を活かした新商品を作るために決断しました。

進出先を恵庭市に決めた一番の理由は?

ポイントが4つあって、やっぱりまずは「人」です。一緒に働いてくれる人たちがいることが一番。次に食品会社としての絶対条件となる良質な水ですね。それから、私ども九州出身の人間にとっては雪が少ないところがいいと。そして最後に、いろいろなインフラが整っていること。3年がかりで探しまして、最終的に4つのポイントがクリアできる恵庭に落ち着いたというわけです。

実際に進出してきて一番のメリットと感じることは?

私はやはり人だと思うんですよ。北海道の人で、北海道の素材で、北海道のお金で、日本はもとより世界に発信できる新しいブランドを作るというのが目的でしたから、それを実現できるいい人たちとの出会いがありました。そういう仲間が増えることで、これからどんなことができるだろうとワクワクすることが、私としては一番の楽しみなんです。

北海道の道民性についてどう思われますか?

北海道の皆様と私ども九州の人間とは、非常に親和性があると感じました。日本の北と南ですが、すごく人柄が似ているというか、本当にいい方が多いので、私を含めて社員も馴染みやすかったですね。すぐに仲間になれたことがとても大きかったと思います。

逆にここはちょっと苦労したというところは?

苦労はいっぱいありますし、これからもずっと苦労の連続だと思います。でもそれ以上に夢が大きいので乗り越えられるということではないでしょうか。我々の主戦場は関東なので、物流の問題には頭を悩ませることが多いのですが、もっと先のことを見据えながら事業をさせていただいているので、今の苦労は苦労とは思わず、将来の楽しみの方が大きいと思っています。

進出してみて北海道の印象は変わりましたか?

タラコがとれる季節が冬なので、それまでは寒い冬の北海道以外はあまり知らなかったんです。でも、夏の北海道はやっぱり違いましたね。カラッとした爽やかな夏は、なかなか九州では味わえないものです。この大自然を満喫しながら、そこで育まれたものにいかに付加価値をつけて販売するか、そこが大事だと思っています。

北海道の優位性はどこにあるとお考えですか?

私どもの茅乃舎ブランドでは、アメリカに通信販売の基地を設けたり、香港や上海に店舗を構えています。そこでの北海道の知名度はものすごく高いんですよ。北海道の名前を冠した真偽の怪しい商品も売られている中で、我々としてはやっぱり本物の「ザ・北海道」というブランドを発信しなければならないと思っています。今まで培った経験やノウハウを活かして、いろいろな形で北海道の名を世界に広げていきたいです。

北海道アイという社名にこめた思いは?

北海道のおいしさや食文化を発信するために、2019年に設立したのが「株式会社北海道アイ」です。アイとは何かとよく訊かれますが、北海道へのLOVEであり、広い視野と新しい視点のEYEであり、北海道という大地に足のついた事業を推進するISLANDであり、いろいろなアイがあるわけです。新参者の我々が北海道という名前を使うのはいかがなものかとも思いますが、本当に愛だけは溢れていますので、その北海道に対する愛をしっかり商品の形にしていきたいです。

今後の展開やビジョンを教えてください。

我々の最終目標は、久原本家グループが北海道に来て良かったと言われることです。我々の商品に刺激を受けていただいたり、我々のビジネスモデルを参考にしていただいたり、いろいろな効果が出れば本当に嬉しいです。特に恵庭市の皆様からは、工場ができてよかったという喜びの声をいただいています。こういうことをバネに頑張っていきますので、北海道アイができて良かった、久原本家が北海道に来てくれて良かったと道民の皆様から言われるような会社を目指して、今後も北海道の皆様と一緒に成長していければと思います。

Profile

久原本家グループ 株式会社北海道アイ
代表取締役会長

河邉 哲司さん

1955年福岡県久山町生まれ。78年、福岡大学商学部貿易学科卒業。
同年、家業である久原調味料入社。入社当時、従業員は6人であり、みずからが醤油の配達を一軒ずつ行う中で、お客様への感謝の心、また現場からチャンスを見いだす術を学ぶ。
その後、醤油の製造販売が中心の事業から、加工調味料の製造販売へと事業を転換。以降、『椒房庵』『茅乃舎』などの直販ブランドを立ち上げ、感動を創造すること、本物を追求することで付加価値を高めるビジネスモデルを展開。
96年に4代目社長就任(現・社主)、2019年、株式会社北海道アイ設立、代表取締役会長就任。創業から129年を経た久原本家グループの社主として、「ありがとう」の感謝の気持ちを何より大事にする企業文化の醸成に力を入れている。

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