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Interview

多様な材質なものを、より小さく、より高精度にして、芦別の地から世界に届けたい

大旺鋼球製造株式会社
代表取締役 社長

加治屋 国博 さん

昭和6年の創業以来、一貫して工業用鋼球の専業メーカーとして、日本国内はもとより、世界各国に素材を供給。極小経ベアリング用鋼球など、1万分の1ミリ以上レベルの高精度な品質の製品を生産しています。

  • 本社所在地
    大阪市平野区加美南5丁目13番27号
  • 北海道工場
    北海道芦別市上芦別町118番地125
  • 企業サイトURL
    https://www.daio-steelball.co.jp/index.html
  • 事業内容
    工業用鋼球専業メーカー
  • 取材年
    令和6年度

ー事業内容について教えてください。

1931年に大阪で創業した鋼球づくりだけをおこなう専業メーカーです。主なお客様は、同じ芦別工業団地にある、北日本精機さんに代表されるような、ベアリングメーカーさんになります。2025年にパイロットラインが完成し、27年に量産が始まると言われる千歳の半導体メーカー様で使われる装置には、ベアリングやボールねじ、油圧・空圧機器といった機能部品が数多く使われています。そういった産業界の米と呼ばれるベアリングに代表される「機能部品」に使われる鋼球の製造と販売をおこなっているのが当社の事業です。

ー強みやこだわりは?

製造している鋼球のサイズは直径0.8㎜から9/16インチ(約15㎜)の大きさまでを製造しています。また製造している材質については、軸受鋼として最も使用されるクロム鋼と呼ばれるSUJ2とステンレス鋼のSUS440Cが中心ですが、自動車部品での用途が高いSUS420J2、タングステンカーバイド、窒化ケイ素といったお客様の要望によっては、特殊な材質のものも鋼球に仕上げております。私どもが作っている鋼球はベアリング用に使われることから、大きさや表面の精度に差があると如実に音や滑らかさに影響を及ぼします。そのため、均一に精度の良いものを大量に生産できることが当社の最もこだわっているところです。

ー北海道工場の役割を教えてください。

大阪で生まれた会社ですが、2度の大きな過渡期を経て、現在はこの芦別市にのみ製造拠点を構えています。2009年のリーマンショックのさなかに大阪八尾市のマザー工場を補完する形で北海道工場を立ち上げました。2018年にはそのマザー工場ごと全ての製造基盤を移設し、1,470平米の自動倉庫を併設することで、製造と全国へ向けての物流拠点をこの北海道工場で担っています。

ー製造拠点を芦別市に設けた理由は?

同じ工業団地内の北日本精機さんは当社の最上位ユーザー様です。大阪からの物流効率よりも、現地からの直接供給のメリットを追求したいお客様の要望をより身近に聞ける環境で製造したい。ということからスタートしました。また芦別市は、地域的にも温暖で自然環境が良いこと、補助金やふるさと就職奨励金など、移住者にも手厚く支援してくださる環境があり、道内各地からの採用にも大変協力的で大いに助かっております。

ー北海道で製造をおこなうメリットは?

0.1μⅿ単位での精度が求められる鋼球づくりに置いては、忍耐強く・生真面目な道民性がマッチしていると思います。

ー製造拠点を北海道に集約した理由を教えてください。

大阪の工場は、1969年に作られました。50年を経て工場だらけだったエリアがいつの間にか住宅地になり、再開発が難しかったことが1点。既に1991年に製造子会社である北日本大旺で生産を開始し、さらには2009年に北海道工場での生産を開始しており、よくわかっている地域であったのが2点目。そしてなんといっても最大のお客様と同じ土地で物流のロスをなくし、より深いコミュニケーションを取りながら活動できると考え、工場集約に踏み切りました。

ー芦別市の魅力は?

道内の他の地域に比べて比較的温暖で水害等の災害もなく、星の降る里のキャッチフレーズに恥じない満点の夜空は大阪で望むべくもありません。また、もともと炭鉱の町で全国各地の人を受け入れていた土地柄か、初めて行った散髪屋、食堂でも大変フレンドリーに迎えいれてくれます。芦別市は転居者への助成金や全道からの採用を目指して建てた社宅にも補助をいただいており、一体となって盛り立てようという機運も有難いと感じております。

ー大阪の本社と離れた北海道に製造拠点があることで、デメリットはありますか。

大阪と北海道で製造を分けていた時代も、生産品目の違いから毎週大阪と北海道で定期のコンテナ移送をおこなっておりました。現在は大阪本社の主な機能は倉庫であり、物流機能のリスクヘッジをおこなっていると考えれば、特に苦労は感じません。

ー大阪と北海道の気候など、違いはありますか?

北海道の夏は過ごしやすいイメージでしたが、ここ最近は温暖化の影響か夏場の気温が大阪と変わらない日が年々長くなっているように感じています。一方で特に今の季節(※取材時期10月頃)ですが、大阪では半袖、でも芦別では朝晩はダウンジャケットが必要といったような気温差を最も感じる時期があります。大阪では夏が終わるとすぐに冬のイメージですが、芦別では四季を感じることができることが大きな違いのように感じています。

ー現在、力を入れている取組があれば教えてください。

3つあります。1つ目は、全道からの採用を目指し、実質家賃ゼロでの社宅を26棟用意しました。2つ目は、若手を幹部会へ積極的に登用しています。毎日の進捗会議、隔週でおこなわれる部門報告会、月に1度の安全衛生委員会など25歳~35歳前後の若手を積極的に参加させ、力量に応じて司会も任せるなどしています。3つ目は、関連会社北日本大旺との連携強化です。これも人事交流を進めお互いの受注の波に併せて多能工化を進めているところです。ワン大旺をテーマに、人事だけでなく技術交流会も定期的に開催し、一体感を高めているところです。

ー今後の展開やビジョンについて教えてください。

「地域の発展なくして会社の発展はない」が芦別市に進出した時からの当社の考えでもあります。地域とともに発展してゆくためには、雇用を守り、利益を生み出すことだと思います。製造する製品については、より小さなものを、より高精度なものを、多様な材質なものに対応し、この芦別の地から世界のお客様にお届けして行きたいと思います。

Profile

大旺鋼球製造株式会社
代表取締役 社長

加治屋 国博 さん

2010.09 大旺鋼球製造株式会社 入社
2015.08 大旺鋼球製造株式会社 取締役営業部長就任
2020.07 大旺鋼球製造株式会社 専務取締役就任
2023.02 大旺鋼球製造株式会社 代表取締役社長就任

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